松尾みどり
みどりの泉

ヒーリング・ヘルスラボ
心と体のコスモワールド

1.生と死の成立 11

アキトくんはもう一度両足を床にしっかりとつき、
両手をゆっくりと机から離しました。
そして自分の力で、生まれて初めて30秒間立ったのです。
お母さんは立ち上がった姿のアキトくんを見て感動して泣き崩れました。

お母さんはとても優しく、辛抱強く
また一生懸命アキトくんのお世話をしてきました。
人知れず大変なご苦労もあったことでしょう。
しかし、お母さんも自分を責め続け、自分の人生の全てを
子供のために捧げなければならない、と
自分に犠牲を強いてきたのです。
そして息子への償いの気持ちでしかアキトくんを見ることが出来ませんでした。

一方、アキトくん自身にも誰にも言えない様な
苦しみや辛い思いがたくさんありました。
でも、いつも明るく”大きくなったら医者になりたい。
エネルギーの治療でたくさんの人を助けたい。”と言っていました。
ある時のワークでは
”私は〜である。”を自分を表現する言葉で埋めてください。
という問に対し
”私は「人間」である。”はっきりと言ったのです。
そこには妬みや、ひがみ、自分を卑下する気持ちは一切ありません。
ありのままの自分を受け入れ、自分自身を生きているのです。
私はいつもそんなアキトくんの姿に胸を打たれました。

このように親子のつながりにはとても深い約束が隠されています。
お互いの姿を見るその視線の中にこそ、
自分自身の”カルマ”が隠されていたのです。
他者や物に触れ自らが感ずるところ、
他人の言葉に反応している自分。
この”いま”の瞬間に生ずる自分の感情や感覚こそが、
過去の人生から自分の中にずっと持ち続けてきた、
”魂”から”自分”へのメッセージだったのです。
そういった自分自身のカルマを確認し
その後の生き
方を大きく転換する為に、自らの生を選び、
深い魂の約束の下に親子として出逢うのです。

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