松尾みどり
みどりの泉

ヒーリング・ヘルスラボ
心と体のコスモワールド

1.生と死の成立 10

娘だったお母さんは農民たちにとても優しく接していて
皆の辛い生活も知っていたので、
一揆の時にも機転を利かせ、その事件をうまく収めたそうです。
しかし、いつもどこか犠牲的な考えが抜けず、
自分が人の苦しみを肩代わりしようとしていました。

その次の人生でも日本に生まれ実子に”野口英世”を持ちました。
ご存知の通り英世は幼少の頃、手に大ヤケドを負いました。
お母さんはその事で死ぬまで自分を責め続け
”自分が変わってあげたかった”と強く悔やんでいたのです。
そして今生では幼い子供の頃、下半身におへそがずれるくらいの
ひどいヤケドを負い、その事で強い劣等感を持っていました。
その後、ご主人と出逢いアキトくんが生まれましたが、
そこでまた”自分のせいで子供がこんな体になったのではないか”と
自分を深く責め続けました。

お母さんはアキトくんの為に必死で毎日学校への送り迎えや
病院通いを続けました。また、何とか良くなって欲しい一心で
アキトくんの左足に9年間で10回もの手術を施しました。
でもアキトくんはこう言っていました。
”ボクは本当は手術はしたくなかった。でもお母さんが喜ぶからしたんだよ。”
実際にヒーリングをしてみても金属の入っている左足より
右足にハッキリとした反応があります。感覚はしっかりと残っているのです。

ある日、周りに人が見えなくなるとアキトくんは突然言い出しました。
”ボク思い切って立ってみたい!”
私はとまどいつつも”よし、一緒にやってみよう!”と後押しします。
まず、机の上に両手を置き、両腕で体重を支えながら、
ゆっくりと上体を持ち上げて恐る恐る立ち上がろうとします。
1度目は両足を床につけて、そっと机から両手を離し1,2,3秒。
僅かな時間ですが両足だけで体を支えることができました。
一呼吸ついてからもう1度チャレンジしてみます。
1,2、3,4、‥今度は10秒間、立つことが出来ました。
アキトくんは私にこう言いました。
”今度は立てる気がする!お母さんを呼んできて!”
私は、緊張に耐えかねて外で待っていた
お母さんを部屋に呼び入れました。

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